天香山命と久比岐のあれやこれや

素人が高志の昔を探ってみる ~神代から古墳時代まで~

誓約の五男神は瀬戸内の寄港地

以前の記事『神代の誓約から国譲りまでは欠史八代と時期が重なる』にて、誓約で天照の子になった五男神は播磨、吉備、安芸、周防および丹波ではないかと推測したのだが。今になって、宗像に合わせて考えるなら、瀬戸内の主要な寄港地ではないかと思い至った。

調べてみたら、瀬戸内海はたいそう癖の強い海らしい。
広島と愛媛にまたがる芸予諸島では「船に乗るより潮に乗れ」と云うほどだとか。

Wikipedia芸予諸島」の項より抜粋

なかでも、四国と大島とに挟まれた来島海峡はちょうど瀬戸内海の中心に位置し海峡幅も広いため現在では国際航路として様々な船が航行しているが、古くは「一に来島、二に鳴門、三と下って馬関瀬戸」と唄われるように潮の流れが速く瀬戸内海有数の難所であった[4]。

第六管区海上保安本部 平成25年(2013)広報資料 2月発表分(一覧)
海の流れについて(海流・潮流)[PDF]

日本周辺の主な海流
 対馬暖流:1~1.5ノット(時速1.9~2.8km)
 黒潮:2~3ノット(時速3.7~5.6km)
 親潮:弱い流れ

瀬戸内海の主な潮流
 鳴門海峡:10.5ノット(時速19.4km):淡路島と徳島県鳴門市
 来島海峡:10.3ノット(時速19.1km):芸予諸島愛媛県今治市
 関門海峡:9.4ノット(時速17.4km):山口県下関市と福岡県北九州市
 明石海峡:6.7ノット(時速12.4km):淡路島と兵庫県明石市

第六管区海上保安本部 潮流に関する用語等について

◎潮流とは---潮汐の干満に伴って起こる海水の周期的な流れのことをいう。
 ○上げ潮流---潮汐の上げ潮(低潮時から高潮時)中に最強となる方向の潮流をいう。
 ○下げ潮流---潮汐の下げ潮(高潮時から低潮時)中に最強となる方向の潮流をいう。
   ――略――
 ○憩流-----潮流の流速が次第に弱まって停止する(流速が0)状態をいう。

気象庁 潮汐の仕組み

地球は1日に1回自転するので、多くの場所では1日に2回の満潮と干潮を迎えることになります。 また、月が地球の周りを約1か月の周期で公転しているために、満潮と干潮の時刻は毎日約50分ずつ遅れます。

理論上は、およそ6時間余りで潮流の向きが切り替わる。
理論値を簡易な図にすると。
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ただし、実際には地形や天候の影響を受けるため、そう単純ではないそうだ。
沿岸部の窪んだ海岸線などでは、主流の逆向きになる反流が生じるという。

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上の2つの画像は、6時間を挟んだ前後の潮流を表している。
下記のページ『潮流推算』の下部にあるリンク「瀬戸内海潮流推算」から取得した。(クリックしたときの日時データを最初に表示するシステムらしい)

第六管区海上保安本部 せとうち情報局 潮流推算

海峡は、潮流に乗って通過するか、または迂回する航路を選択したのだろう。来島(くるしま)海峡は四国寄りにあるので、安芸沿岸を進めば避けられるのではなかろうか?

潮流に乗れば速度が出るぶん舵がとりにくくなるそうだ。
潮目と天気をみて、憩流の時間帯に次の停泊地に着くように出航する。そういう知見が、瀬戸内の航海には求められたのではないかと思う。

国土交通省 運輸安全委員会 門司事務所における分析 《 平成29年 3月17日発行 》 海上交通の難所 関門海峡[PDF]

この日の21時40分ごろは、西流が9.7ノット(時速約18km/h)に達することを示しています。
 つまり、約10ノットで東航する船舶は、21時40分ごろに早鞆瀬戸に差し掛かると、逆向きの潮流により、極めて遅い対地速力で前に進むことしかできません。
   ――略――
 また、対水速力約5ノットで西航する船舶は、21時40分ごろに早鞆瀬戸に差し掛かると、潮流に乗って約3倍の対地速力で通過できることになりますが、潮流に乗ると舵効きが悪くなったように感じることがあります。

瀬戸内には、複数の潮目待ちの係留ポイントが設置されていただろう。そのポイントのうち目ぼしい五か所が誓約で誕生した五男神ではないかと推測する。