天香山命と久比岐のあれやこれや

素人が高志の昔を探ってみる ~神代から古墳時代まで~

2021-01-01から1年間の記事一覧

出雲大社(杵築大社)に思うこと

当ブログの『建国神話を読む』シリーズをしっかり読んでくださらない方々は意外に思われるだろうが、現在、ブログ筆者である比佐安田に出雲大社(杵築大社)を批判する意図は一切ない。 なぜなら出雲大社の有りようは高志や丹波の伝承と融和するからだ。筆者…

景行と成務と仲哀について仮説

景行[12]と仲哀[14]は九州へ赴き、熊襲を討伐している。うろ覚えなのだが、この頃の力関係は筑紫(北九州勢)のほうが上だった説を、何時だったか誰かに解説してもらった気がする。 景行は自身が筑紫入りするまえに使者を送って様子をみる。神夏磯媛は賢木に…

襲津彦についての仮説

襲津彦には葛城の他にも一人、景行[12]皇子の日向襲津彦がいる。母は日向髪長大田根。日向国の益安神社に祀られている。 宮巡 宮崎県神道青年会 益安神社(ますやすじんじゃ) 景行[12]紀 次妃日向髮長大田根 生日向襲津彥皇子 是阿牟君之始祖也 次妃の日向…

伊勢内宮についての仮説

当ブログでは『仮説』という語句を「妄想のなかで貫かれる理屈」と定義して、今後は、鵜呑みにしてはならない記事への注意喚起として表題に使用する。たとえば、この記事のような類いである。 何年前か覚えてないが、ネットのどこかで「伊勢神宮の内宮に死体…

四道将軍武渟川別の痕跡

千葉県市原市にある神門5・4・3号墳は、3世紀半ば築造の前方後円墳と目されている。市原市の辺りは上海上国造か菊麻国造と思われ、どちらも成務[13]朝の任命で天穂日後裔だ。 千葉県 神門5号墳 神門5号墳 概要 2021年9月転写 これら3基の古墳から出土した土…

伊勢神宮の外宮と内宮

むかし、伊勢の内宮と外宮は争っていた。 内宮は中臣氏。 外宮は度会氏。 日本書紀の建国神話を読み解いた結果、中臣氏に関わる「天兒屋」「武甕槌」「豊城入彦・八綱田」の貢献は、どうも嘘くさい。多大な実績があるなら中臣氏も大連か大臣に就いてもよさそ…

smalltalk - 彦根

和様建築を見たくなって、滋賀県の西明寺を拝観したときのこと。 うろ覚えなのだが、地元タクシーの運転手さんが、大昔の彦根はハブ港だったと仰っていたと思う。曖昧な記憶だが、たぶん聞いた。 あれは五男神の天津彦根と活津彦根のことを言っておられたの…

建国神話余話 誓約の五男神

神代上第六段(誓約)で誕生する五男神は、順序こそ違うが、顔ぶれは変わらない。一書第三は五柱に熯之速日を加え、六男神としている。この熯之速日は、神代下第九段(国譲り)本伝に武甕槌の親として登場する。 本伝 一書第一 一書第二 一書第三 天忍穂耳天…

建国神話余話 関東の国譲り

神代下第九段(国譲り)の一書第二は、高皇産霊が大己貴に「當主汝祭祀者天穗日命」と言って、天穂日が大己貴を祀ることを約束する。 天穂日は、天照と素戔嗚の誓約で誕生した五男神(六男神)の一柱だ。 神代上第六段(誓約)本伝は、天穂日に「是出雲臣土…

建国神話余話 洲羽神話のモリヤ

洲羽の伝承では、建御名方が地元の神である洩矢(守屋大臣)を打ち負かして入植したという。この伝承の元になる史実として、ふたつの可能性が考えられるだろう。 諏訪史料データベース 諏訪信重解状 『諏訪信重解状』とは 上記リンク先より2021年8月転写 諏…

建国神話終章 反九州の気運

前回の要点:狭穂彦=阿彦、狭穂姫=支那夜叉、誉津別=支那太郎、高倉下嫡流=天津甕星。草薙剱は越前素戔嗚から子孫の丹波大己貴へ渡り、阿彦討伐に使われた。同じ頃、科野と関東が争い、饒速日勢が科野を援けて関東勢を退けた。しかし記紀はなぜか八綱田…

建国神話第十章 天津甕星と狭穂彦と越中阿彦

前回の要点:丹波は協調派と対立派で意見が割れていた。九州から来た武振熊が仲哀庶子の忍熊王を討伐して以降、丹波は衰退する。九州は翡翠産地に入り込んだ丹波の血筋も排除した。これが両面宿儺であり、椎根津彦嫡流の久比岐青海氏は消失する。この抗争の…

建国神話第九章 崇神非実在説

前回の要点:淡路の大彦を夫にした久比岐の女性が武渟川別を生む。大彦が初代神武天皇で、武渟川別が第二代綏靖天皇(神渟名川耳天皇)。椎根津彦嫡流の久比岐青海氏から分家して近畿へ移住した人々が倭氏。饒速日は伊勢津彦であり、科野へ移住した。第三代…

建国神話第八章 綏靖、並びに欠史八代

前回の要点:天稚彦=兄磯城=彦湯支。味耜高彦根=弟磯城=味饒田。神武(淡路)と椎根津彦(久比岐)が共闘して兄磯城を挟み撃ちにする。丹波大己貴の国譲りとは、このとき淡路・久比岐との対立を避けて素通りさせたこと。淡路勢と対立する長髄彦は葦原醜…

建国神話第七章 畿内平定

前回の要点:国譲りの大己貴は、本伝は丹波大己貴、一書第二は杵築大己貴のこと。共通して登場する天穂日および経津主と武甕槌は杵築大己貴の国譲りに関与した。丹波大己貴の国譲りには関与してないが、本伝にも登場させることで二勢力の大己貴を同一存在で…

建国神話第六章 国譲り神話

前回の要点:日本海を航行した科野安曇氏が八岐大蛇であり、草薙剱の所有者。八岐大蛇退治は逐降の原因。時系列を逆転させて美談に転換したのは、山陰出雲に受け入れてもらうため。素戔嗚を山陰出雲に関連づけることで翡翠の産地を隠匿した。 神代下第九段 …

建国神話第五章 八岐大蛇

前回の要点:丹生川上の祭祀で使用した土器の原料を採取したところの地名「埴安」は、武埴安彦を暗示するキーワード。武埴安彦討伐と国見岳八十梟帥討伐と逐降は、同一の事変を描いている。大彦=神武=高皇産霊武埴安彦=国見岳八十梟帥=大国主(※)大物主…

建国神話第四章 逐降と国見岳と埴安(2)

前回の要点:神武は高皇産霊。国見岳八十梟帥は大国主。越前の丹生山地と国見岳は素戔嗚ゆかりの地。素戔嗚の狼藉が原因で神退った稚日女は、高志と瀬戸内をむすぶ経路(琵琶湖・淀川)を活動域にしていた息長氏に縁がある。天岩戸で諸神が講じた策と、丹生…

建国神話第三章 逐降と国見岳と埴安(1)

前回の要点:誓約で生まれた五男神は瀬戸内を含む交易路を指し、宇佐ー対馬間の三女神と合わせ、鉄ていや玉石を流通する大陸との交易路を表す。鍛冶技術を携え入植した淡路勢は、翡翠の産地である久比岐勢と交流していた。これより前、伊勢に入植していた饒…

建国神話第二章 ヤマト建国前夜の畿内

前回の要点:誓約で生まれた三女神は、宇佐と対馬をむすぶ交易路を司る。素戔嗚は、狗邪韓国を象徴する。 瀬戸内航路 三女神が宇佐と対馬をむすぶ交易路ならば、同時に生まれた五男神もそれに類する存在だろうと予測すると、まず瀬戸内海が思い当たる。 2004…

建国神話第一章 素戔嗚と三女神

第五段(神産み)では、さまざまな神と三貴子(天照、月読、素戔嗚)が誕生する。三貴子は、本伝と一書第二では伊弉諾と伊弉冉の両親から、一書第一と第六(黄泉戸喫)では伊弉諾の片親から生まれるが、どちらにせよ素戔嗚は乱暴な気性ゆえに、親により根国…

建国神話序章 自説の骨子

神代紀の誓約から国譲りまでは、倭国大乱を描いている。神武[1]紀の東征は、倭国大乱のころの近畿地方と中部地方を描いている。崇神[10]紀には、神武東征の記述を改竄したような倭国大乱の記述がある。これを読み解くにはコツが必要だ。 コツを押さえれば日…